第10話 仰天 中国住民事情

もう十数年も前、2000年頃でしょうか、
日本企業が中国へ進出し、かなり中国でのビジネスが一般的になり始めた時、中国で行われる電気機器の展示会へ出展するというので
中国国内での電子機器の製品展示会へ出展するべく準備をして、
いざ中国へと渡りました。
場所は、浙江省 温州市という、まあ田舎町です。といっても市内の人口は300万人以上
中国では、200~300万人なんて田舎町なんです。
ちょっと大きい街というとすぐ500万~600万人なんてざらですから。
首都 北京から約1600km南 当時はまだ近い上海便がなく
北京から飛行機を乗り継いで温州市へ入ります
さて、温州市の飛行場はこれがまた田舎の飛行場なんですが
通常飛行場のカウンターには、コンピュータ端末があり、それでチェックイン作業などを
やっているわけですが、ここはそういったコンピュータ端末が一切ありません。
チェックインカウンターという木製の机が6~7つくらいあり
人でごった返しているのですが、コンピュータ端末はなく、すべて紙の伝票で
チェックイン作業をやっているのです。
来る人も来る人も紙の伝票を持って
それを係員がノートに記載されたものと比べて、チェックしているという具合でした。
この国にはコンピュータやパソコンなるものがまだないのか と思ってほどでした。
ですから帰るときにはここでチェックインするのですが、かなり時間がかかるのと
人が喋って確認するのでまあ煩いこと。それも人だけは多いので。。。
都市部はこんなことはないのですが中国は少し田舎へ入ると
こういう道具類?はまだ行き届いていなかったですね。全て人力です。
浙江省自体は、近年産業が発達?し、特に工業製品の売買が多く、
電機産業が盛んな市街でもあります。
道の通りはほとんどが電気屋でそれも間口が2~3mくらいの小さい店が延々と道の両側に続きます
言ってみれば、日本で言う秋葉原のようなものでですが、ただし、最先端の電子機器というわけには行かず、
基本的に電気部品、工業製品がほとんどといったところで、
むかしの戦後日本の電気街 部品販売店を思わせます。
そんな中国の田舎町?で準備のため、前々日に入って、機材を用意し夕方一息ついたところで
食事のため、レストラン(?)といっても小さな店ですが、ビールを注文したところ、暖かいビールが出てきました。
(えー)と驚きましたが、
まあ冬真っ盛りの2月だからかなと聞いてみたところ、
中国人は夏でも冷たいものは口にしない。健康に良くないからということで
まあこの頃には、まだ中国国内では、ビールは暖かくして飲むものでした。
最近は都市部では、ちゃんと冷やしたビールも提供されますが、農村部へ行くと
今でも温かいビールが出てくるとのことです。
また昼食は弁当ですが、これは弁当と言っても暖かくして配送されたものを
食事として提供され、これは日本の冷たい弁当より、冬は有り難かったですね。
さて肝心の展示会ですが、展示会場と言ってもちゃんとした建屋ではなく、大きなテントのようなものを
貼ったものですが、それでも大きさはかなり大きく、全部で10~20張りで東京ドームより若干小さいくらいの大きさでしたかね
従って、ひとつのテントはかなり大きいです。
そして、これがまあなんというか これが問題ですが、エアコン、暖房の類は一切なし。。
それも2月の大陸気候の中国は非常に寒く、風も強く、テント内といえどもとても厳しい寒さでした。
テントの入口は観客が入りやすくするために大きく開口されており
強い風は、そのまま中へ入ってくるので、なんのための建屋かわかりません。
さすが、中国! こんな展示会があるのかいな。これで観客が来るのかなと訝しく思ってはいました。
寒いので、ズボンの下には厚手のパッチを履き、厚手のズボンと上着を3枚くらい重ね着して、さらの厚手の
オーバーを着て、会場に入っていましたが、それでも寒く 立っているのが2時間が限度でした。
それとトイレがまた汚いんですね。。。書くのも嫌になるくらいで、まあなんというか。
展示会場前にはバルーンもどきの派手な看板や飾り付けがあり、
そしていよいよ、展示会初日、防寒対策をしっかりして、観客を待っていると、定刻になり
来ました、来ました。。。
どっとあふれるばかりの観客が、我先にと押し寄せ、あっというまに会場は
芋洗いのように人でごった返しました。そして、中国人の特徴として、来場者は、全員とにかくカタログを
欲しがる、
説明はどうでもよく、とにかくカタログを我先に手にして立ち去る。初日開始、数時間で500枚以上あった
カタログがあっという間になくなりました。
まあなんということか、この人の多さ、それも各自が大声で怒鳴り?あいながらカタログを奪い合う?光景で
さすがにどこから出てくるのか、人の多さと煩ささと、寒さに閉口しながら、まあ初日を終えました。
会場の外は、日が当たるとそれなりに暖かく感じ、会場の中のほうが寒いくらいで、なんて会場だ
とも思いましたが、まあそれも仕事ですから。。
3日間こういう状況でとても寒く、テント室内と言っても極寒のかなで展示説明をして、
まあなんとかやり過ごしましたが
現地の人は、これくらいの寒さは、なんともないようでした。
そして、毎夕食はレストランですが、そこも電気事情が良くないのか、薄暗く、暖房もあまり効いておらず
震えながら食事をしたのを覚えています。
まあ今では中国も若干は改善され、こういう事はないようですが、私の中国での業務はとても悪い印象だけが残ったのは確かです。
それ以後10数回仕事で中国へ行きましたが、北京とか上海は大都会で
それなりに都会としての機能を持っています
また香港都の国境があり、税関で非常に栄えているシンセン市で良く夕方の屋台とかが出て、散歩がてら歩いたのを覚えていますが
彼らは屋台で食べた容器とか食べ残しとかを、道端に平気で捨てるんです。みんながそれをやるものだから
歩道が生ごみだらけで、それはもう不衛生ですが、住人は気にもとめないようです。
大体、住人は、自宅の生ごみを全て道路へ夕方に捨てるんですね。業者が早朝に来て、道路を掃除して片付ける
また翌日も同じことをするということで、ゴミを綺麗に片付けるという概念がないので、早朝の道路は長ゴミが散乱しており
匂いも異臭がします。さすがに北京、上海などではないですが、シンセンのような都会の一本裏地へ入ると
このようなことが行われています。また裏道には、食用としての犬も売られており、まあここは中国だなと感じられることは多々ありますね。
大体、中国での食事も観光客と違って仕事での食事は、大体が油であげられたものか
油を使っているので、2~3日過ごすとたいていの日本人は、胃が油でやられて、食事ができなくなります
ただチャーハンだけは、日本よりおいしく、毎日チャーハンだけを食べていたものです。
観光客として食べる食事で、やはり小籠包や北京ダックはとても美味しんですがね。。。